人間の本質と
倫理、哲学
-
1111身体知の実践
~ソマティックな人間観に依拠して~
担当コーディネーター
上智大学 文学部 保健体育研究室
特別契約教授 鈴木 守MAMORU
SUZUKI身体をテーマ化することの現代的意義について、現代社会論の文脈で議論することから本講座はスタートします。現代社会やマスメディアを席巻する身体をめぐる様々な社会現象がどのような問題性を孕み、その結果どのような身体観を人々にもたらすのかを探ることでその特性を捉えます。社会的に築かれた現代的身体観こそが、その延長としての世界構築の枠組となり、それが科学技術優先主義や経済合理性によって牽引されて今日に至るのです。この文明化の過程では機械的合理性がもてはやされ、一方でないがしろにされてきたのは「身体知」「身体性」や「内なる身体(ソーマ)」への配慮です。多様な職業的背景をもった講師陣は、それぞれ固有の身体性やソマティックなワークを実践しています。参加者全員が体験する参加型の講座を通して、身体知の存在を肌で感じ、理解し、その感覚経験がより良き世界の構築にどのように活かせるのかを学ぶことになります。混迷する時代であることが、かえって本講座の存在意義となるのです。
各回の講義テーマ
-
なぜ“身体”を問うのか
-
東洋的身体技法に学ぶ
-
ソマティック教育の展開
-
ソマティック禅の実践
-
コミュニケーションとしてのビオダンサ(生命のダンス)
-
「ソマティック」の理論的世界
予定講師陣
- ■村川 治彦(関西大学教授)
- ■吉田 美和子(上智大学准教授)
- ■長谷川 智(山伏、上智大学非常勤講師)
- ■内田 佳子(国際ビオダンサ連盟公認ファシリテーター)
- ■藤田 一照(曹洞宗僧侶)
- ■鈴木 守(上智大学特別契約教授)
-
-
1211アフリカの智に学ぶ
~サハラ以南アフリカの慣習や文化から~
担当コーディネーター
上智大学 文学部 フランス文学科
教授 永井 敦子ATSUKO
NAGAI上智大学 グローバル教育センター
嘱託講師 山﨑 瑛莉ERI
YAMAZAKI1) 「アフリカへの一人称的アプローチ -ミシェル・レリスとジャン・ルーシュ」
フランスの作家レリスによる民族学調査旅行日誌『幻のアフリカ』(1934年)は、一人称の視点がいかに貴重なものかを伝えています。映画作家ルーシュは西アフリカをベースに映像人類学の確立に大きく貢献しました。両者に共通する要素としての、一人称の視点が双方向的な理解を引き寄せる可能性について考えます。
2) 「民話や文学に見る、アフリカの過去と現在」
アフリカの青少年は今、どのような読書・メディア環境にいるのか、どのような民話や文学を読んでいるのかを知り、今後益々活発化することが予想される日本とアフリカの経済・文化交流のあり方の追求につなげます。
3) 「中西部アフリカの民話や慣習に見る紛争解決の知恵」
特に日本の民話や慣習との比較から、罪や裁きに関する考え方の違い、寛容さやユーモアなど、人間関係を円滑にするアフリカの智恵を学びます。
4)「音楽と踊りに見るアフリカの人々の精神性」
アフリカの人々にとって、音楽や踊りは生活に欠かせないものです。宗教や思想、歴史と密接に繋がる音楽や踊りを通して、アフリカの人々の深い精神性について学びます。
5)「映画に表現されるアフリカの過去と現在、そして未来への希望」
映画の舞台としてのアフリカ、アフリカを表現するものとしての映画。映像を通して伝えられるアフリカの叡智や人々の生活を学ぶとともに、新たな文化発信のあり方を見出していきます。
6)「アフリカの智に学ぶ共生社会のあり方」
アフリカの人々の文化や智恵を知ることは、現代社会における日本とアフリカの政治経済事情の理解や交流にどのように生かされるのか、その意義や展望を考えます。各回の講義テーマ
-
アフリカへの一人称的アプローチ -ミシェル・レリスとジャン・ルーシュ
-
民話や文学に見る、アフリカの過去と現在
-
中西部アフリカの民話や慣習に見る紛争解決の知恵
-
音楽と踊りに見るアフリカの人々の精神性
-
映画に表現されるアフリカの過去と現在、そして未来への希望
-
アフリカの智に学ぶ共生社会のあり方
予定講師陣
- ■千葉 文夫(早稲田大学名誉教授)
- ■村田 はるせ(アフリカ文学研究者)
- ■永井 敦子(上智大学教授)
- ■山﨑 瑛莉(上智大学嘱託講師)
-
-
1212グローバル化と人間学
~「他者のために、他者とともに」生きる世界に向かって~
担当コーディネーター
上智大学 神学部 神学科
准教授 吉川 まみMAMI
YOSHIKAWAグローバル化と世俗化が著しく進行する現代社会において、私たちは自分らしい生き方を求めながらも、日々の生活に追われて人生の羅針盤を見失っているように思われます。いったい世界はどこに向かい、私たちは何を支えとしているのでしょうか。多様化したグローバル社会だからこそ、国際人としての教養と倫理観が必要であり、隣人への愛の深さが問われています。
上智大学は、キリスト教精神に基づく人間教育としての人間学を重要な科目と位置づけ、「他者のために、他者とともに」をモットーに掲げています。本講座では、人間のあり方や他者との関わりについて、さらに地球環境や貧困・格差の問題を視野に入れた、イエズス会士を含む複数の講師によるユニークな講義を展開します。
「この世の最大の不幸は、貧しさや病気ではありません。誰からも自分は必要とされていないと感じることです。」 マザーテレサの言葉です。孤立、喪失、分断などの言葉で象徴される現代社会を正しく見つめ、他者に寄り添いつつ主体的に生きる叡智のありかを探求する学びの場となることを願っています。各回の講義テーマ
-
人間の尊厳とキリスト教
-
グローバル教育とイエズス会学校
-
教皇フランシスコの教えと世界観
-
地球環境問題に見る「内なる環境」と「外なる環境」のつながり
-
地球環境問題とインテグラル・エコロジー
-
Option for the Poor—米国でのクリスト・レイ・スクールの試み
予定講師陣
- ■望月 伸一郎(栄光学園中学校・高等学校 校長)
- ■ホアン・アイダル(上智大学教授、イエズス会司祭)
- ■吉川 まみ(上智大学准教授、環境教育学)
- ■松村 康平(広島学院中学校・高等学校 教諭、東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻)
- ■髙山 貞美(白百合女子大学長)
-
-
1213グローバリゼーションの哲学思想
~その基盤と根本的課題~
担当コーディネーター
上智大学 文学部 哲学科
教授 大橋 容一郎YOICHIRO
OHASHI20世紀末からの情報や経済の急激なグローバリゼーションによって、今日ではもはや一世代前の政治や軍事、経済の方法さえ通じなくなりました。他方で新型コロナのパンデミックは世界大戦に匹敵する厄災となり、移動制限やワクチン・ナショナリズムのようなローカリズムが急速に台頭しています。世界は今、何を目ざし、何を守ろうとしているのでしょうか。世界観の羅針盤がめまぐるしく変化する時代だからこそ、移り変わる表象文化の根底にある思想をしっかりと見据えておかなければなりません。さもないと個人も社会も、目前の事実とその対応策に振り回されるだけになってしまうでしょう。
この講座ではグローバリゼーションやローカライゼーションの根底を哲学的に検討するとともに、いくつかの具体的な各論を扱い、各論では識者を招いて、質疑応答を交えつつ一緒に考えていきたいと思います。いずれの問題においても、変化する現実の根本にある人間観、世界観を見直すことによって、表層の地滑り的な変動に飲み込まれないための構築的視座と先見の明を確保することを目ざします。
いずれの回も日本語による60分程度の講義と30分程度の質疑・討議を予定しています。今後の状況によってはオンライン講義になる可能性もありますが、可能であれば、少なくとも第1回と第6回は面談授業にして、直接にお目にかかりたいと考えています。各回の講義テーマ
-
「グローバリゼーションの思想基盤を考える」
-
「コロナに見るグローバリズムとローカリズムの相克」
-
「グローバリゼーションと医療・生命の問題」
-
「グローバリゼーションと平和の哲学」
-
「グローバリゼーションと企業の哲学理念」
-
「グローバリゼーションにおける人間と自由」
予定講師陣
- ■大橋 容一郎(上智大学文学部哲学科教授、放送大学客員教授、前日本カント協会会長)
- ■榊原 洋一(日本こども学会理事長、CRN所長、前お茶の水女子大学副学長、医師)
- ■吉田 幸司(クロス・フィロソフィーズ(株)代表取締役社長、哲学シンキング研究所センター長)
- 他(予定) ※招待講師に変更がある可能性があります
-